日比谷線六本木駅2番出口徒歩3分
皮膚にできた傷あとが、元の傷の範囲よりも広がって盛り上がった状態をケロイドといいます。重症なやけどやケガで生じた傷あとにできるイメージを持たれることが多いですが、実際には、ニキビ、虫刺され、ピアスの穴あけ、注射のあとのような小さな皮膚の傷がケロイドになることもあります。
ケロイドのできやすさは、体質も関係しているといわれています。人種間でも発症率に差があり、白色人種には少なく、黒色人種に多く、黄色人種である日本人はその中間とされます。
皮膚に傷ができると、その傷を治すために創傷治癒の過程で新しい血管や膠原線維が生成されます。この時に、強い炎症が起こったり、炎症が長引いたりすると、創傷治癒に必要な組織が過剰に作られることになります。その結果、元の傷の範囲をこえて広がり盛り上がった「ケロイド」が生じます。一方、同じような経過でも、元の傷の範囲よりも広がらない状態もみられ、これを「肥厚性瘢痕」といいます。患者様がケロイドを診てほしいと受診されても、診察すると肥厚性瘢痕であることがしばしばあります。
ケロイドの好発部位として、胸、肩の周囲、下腹部、耳介などが挙げられます。皮膚に張力がかかりやすい部位や、感染、アレルギー反応が起こった場合に生じやすいという特徴があります。
ニキビやピアスの穴など、小さなきっかけでケロイドになることもあります。ニキビ治療やピアスの穴あけは自己流で行わず、病院に相談しましょう。
ケロイドの治療期間が長くなることもありますが、根気よく治療を続けることが大切です。皮膚に負担のかからない生活を送ることも大切ですので、治療中の注意事項をよく確認しましょう。治療方法はさまざまですので、わからないことや不安なことがあればその都度ご相談ください。
残念ながら、ケロイドは自然に治ることがあまりありません。前述した肥厚性瘢痕の場合は、数か月あるいは数年で自然に白っぽくやわらかい傷あと(成熟瘢痕)に変化していくことがほとんどです。
ケロイドの治療は、内服薬のほか、ステロイドのテープ剤を貼付したり、直接ステロイドを注射します。
外科的治療については、盛り上がったケロイドを切除しても、また同じようにケロイドになってしまう可能性があるため、切除・縫合の際は慎重に治療をすすめる必要があります。具体的には、ケロイドが再発しないように、皮膚に負担がかからないよう縫合すること、術後にテーピングをすること等、傷ができるだけきれいな状態で保たれる工夫が必要です。また、切除後に電子線照射をすることで、治療成績が良くなるとの報告があります。この手術療法に興味のある患者様へは、必要に応じて治療可能な医療機関をご紹介しています。
内服薬と外用薬で治療可能なことがほとんどですが、ケロイドによってひきつれが生じた場合(瘢痕拘縮)や、目立つ部位に生じてしまった場合(醜状痕)などは手術の適応と考えます。いずれにしても早期に治療を始めることが重要です。機能的に問題なく見た目も美しく治すことを常に意識して治療をしていますので、お悩みの方は当院へご相談ください。